監修 : | 名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科学 教授 勝野 雅央 先生 東京女子医科大学 遺伝子医療センター ゲノム診療科 特任教授 齋藤 加代子 先生 |
SMAに関する質問
Q1. | SMAとはどのような病気ですか? |
A. | SMAとはSMN1という遺伝子の変化によって、体の筋肉を動かすのに必要な運動神経(運動ニューロン)の機能の維持に必要なSMNタンパク質がわずかしかつくられなくなる病気です。 全身の筋力が低下するなどの症状が徐々に進行します。 SMAは発症年齢によって0〜Ⅳ型の5つの型に分類され、症状の重さは病型によって異なります。 |
Q2. | 今すぐ治療をすることが必要なのでしょうか? |
A. | 0型、Ⅰ型の患者さんは症状が急速に進行する可能性がありますので、1日でも早い治療が望まれます。Ⅱ型〜Ⅳ型の患者さんでは治療の緊急性を感じにくい場合もあるかもしれませんが、将来の運動機能を最大化するためには早期治療が大切です。 |
Q3. | 自宅で気を付けることはありますか? |
A. | 座位保持が可能な場合は同じ姿勢を長く続けないように心がけましょう。特に乳幼児期では筋肉や関節などが柔らかく変形しやすいため、ご家族が注意してケアする必要があります。 SMAの症状は患者さんによって異なるため、個々の症状や生活環境にあったリハビリを行うことが必要です。主治医や療法士の先生方に相談してみましょう。 |
スピンラザ治療に関する質問
Q4. | スピンラザで治療を受けた人はどのくらいいますか? |
A. | 2016年以降、世界50ヵ国以上で11,000人以上がスピンラザによる治療を受けました。 |
Q5. | スピンラザの投与は誰が行うのですか? |
A. | スピンラザの投与は、SMAの診断・治療に精通し、髄腔内投与や腰椎穿刺に習熟した医師が行います。 |
Q6. | スピンラザの投与はいつからできますか? |
A. | スピンラザは国内に在庫があるため、SMAと診断後、投与の準備が整いしだい数日で投与が可能です。SMAは早期治療が大切ですので、迅速に対応できる供給体制を整えています。 |
Q7. | スピンラザを投与するにあたって、何か検査を行いますか? |
A. | 各医療機関や主治医の判断に基づいて、スピンラザの投与前、各投与時に検査を行います。血液検査や尿検査のほか、必要と考えられる検査を行います。 |
Q8. | スピンラザの効果はどのようにあらわれるのでしょうか? |
A. | 治療による効果のあらわれ方や変化を感じる時期は、個々の患者さんの治療前の運動機能や発症から治療開始までの時期によって異なります。 治療目標を主治医や療法士の先生とよく相談し、治療を開始・継続することが大切です。 |
Q9. | スピンラザはどのようなスケジュールで投与するのですか? | ||||||||||||||
A. | スピンラザによる治療では、乳児型SMAに対しては初回投与後、2週、4週および9週に投与します。その後、4ヵ月毎に維持投与を行います。乳児型以外のSMAに対しては初回投与後、4週および12週に投与します。その後、6ヵ月毎に維持投与を行います。 ※初回投与を含む最初の投与(乳児型SMAでは4回、乳児型以外のSMAでは3回)を負荷投与と呼びます。 スケジュールどおりに投与が実施できず、投与予定日から遅れてしまった場合は、可能な限り速やかにスピンラザの投与を行い、以降、その投与を基点として、下記を参考に投与を行います。詳しくは主治医にご確認ください。 ●乳児型SMA
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Q10. | 投与を継続することでみられる副作用などはありますか? |
A. | スピンラザでは、頭痛や吐き気、嘔吐、背部痛などの副作用があらわれることが報告されています。臨床試験時から7年間の使用実績の中で、継続による副作用発現状況への影響はみられておりません。 |
Q11. | 治療のために通院し続けるのが大変そうです。 |
A. | スピンラザによる治療は、維持投与の時期になると年2、3回の通院になります。また入院期間は患者さんの体調などにより異なりますが、日帰りで投与できる場合もあります。 定期的に通院することで、前回の投与時からの変化を主治医と確認したり、リハビリについて療法士の先生と相談できるなど、個々の患者さんにあった治療プランをたてることもできます。 |
Q12. | 治療で大きな変化がみられず、治療を継続するか悩んでいます。 |
A. | 治療によって大きな変化を感じる患者さんがいる一方で、治療前とあまり変化を感じられない方もいらっしゃいます。 しかし、SMAは進行性の病気ですので、治療をしないと症状が悪化して現在できていることもできなくなっていく可能性があります。 自分の症状にあった治療の進め方を主治医と相談してみましょう。 |
髄腔内投与に関する質問
Q13. | 腰椎穿刺が不安なのですが… |
A. | 腰椎穿刺は髄液の検査や腰椎麻酔、脳脊髄の治療のために、これまでも行われてきた実績のある手技です。病変部位に直接届くため、体の他の部分への影響が少ないと考えられています。通常では、処置などの準備を含めても最短で15分程度で終わります。しかし、体型や骨の形によっては腰椎穿刺が通常より難しい場合もあります。わからないことや心配なことは主治医と十分に相談し不安を解消していきましょう。 |
Q14. | 注射は痛いのでしょうか? |
A. | 注射の最中や注射後に痛みを感じる可能性があります。各医療機関や主治医の判断に基づいて、鎮静剤や鎮痛剤が用いられることがありますので、主治医にご相談ください。これまでの経験から痛みの少ない投与方法の相談が可能な場合があります。 |