フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査(CHOP INTEND)
フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査(Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders:CHOP INTEND)は、乳幼児のSMA患者さんの筋力と運動機能を測る16項目からなる評価スケールです1。
拡大Hammersmith運動機能評価スケール(HFMSE)
拡大Hammersmith運動機能評価スケール(Hammersmith Functional Motor Scale-Expanded:HFMSE)は、小児のSMA患者さんの運動機能を測る33項目からなる評価スケールです2。
Hammersmith乳児神経学的検査(HINE)
Hammersmith乳児神経学的検査(Hammersmith Infant Neurological Examination:HINE、ハイネ)は、生後2ヵ月から2歳くらいまでの乳幼児のSMA患者さんの運動機能を測る評価スケールです。自発的なつかみ、蹴る能力(仰向け)、頭部の制御、転がる、座る、這う、立つ、歩くの8項目について運動機能を評価します3。
神経筋疾患患者の介護者体験評価(ACEND)
神経筋疾患患者の介護者体験評価(Assessment of Caregiver Experience with Neuromuscular Disease:ACEND)は神経筋疾患のお子様をお持ちの保護者の方を対象として、自己記入式の質問票を用いて介護者負担を測る評価スケールです4。41の質問項目からなり、お子様の運動機能についての質問(食事/身繕い/着替え、座位/遊び、移動、可動性)と保護者の方ご自身への影響についての質問(時間、感情、経済面)に分かれています。
拡大Hammersmith運動機能評価スケール(HFMSE)
拡大Hammersmith運動機能評価スケール(Hammersmith Functional Motor Scale-Expanded:HFMSE)は、SMA患者さんの運動機能を測る33項目からなる評価スケールです2。
上肢モジュール改訂版(RULM)
上肢モジュール改訂版(Revised Upper Limb Module:RULM)は、主にⅡ型またはⅢ型SMA患者さんのうち、歩行できない方のために上半身の運動機能を測る19項目からなる評価スケールです5。
B | 手を膝からテーブルに移動する |
C | 作業を止めずに、また鉛筆を紙から離さずに、あらかじめ印刷されている道筋をなぞる |
D | コイン/トークンを拾い上げる |
E | コイン/トークンをカップの中に入れる(テーブル上、水平、肩の高さ、垂直) |
F | 側方に手を伸ばしてコイン/トークンに触れる:手を肩の高さ、それより上に動かす |
G | 片手でボタンライトを押す |
H | 紙を破る |
I | プラスチック容器を開ける |
J | 200gの重りが入ったカップを口元まで運ぶ |
K | テーブル上の200gの重りを持ち上げて、スライドさせずに水平に移動させる (正中線の円から検査側の外側の円まで) |
L | テーブル上の500gの重りを持ち上げて、スライドさせずに水平に移動させる (正中線の円から検査側の外側の円まで) |
M | テーブル上の200gの重りを持ち上げて、スライドさせずに斜めに移動させる (正中線の円から、検査側と反対側の上外側円まで) |
N | 500gの砂袋を膝からテーブルまで、または目の高さまで運ぶ |
O | 両腕を頭より上に挙げる‒肩の外転 |
P | 500gの重りを肩より上の高さに持ち上げる‒肩の外転 |
Q | 1kgの重りを肩より上の高さに持ち上げる‒肩の外転 |
R | 手を肩より上の高さに挙げる‒肩の屈曲 |
S | 500gの重りを肩より上の高さに挙げる‒肩の屈曲 |
T | 1kgの重りを肩より上の高さに持ち上げる‒肩の屈曲 |
※P~Tは、いずれも腕を伸展した状態で行う。
6分間歩行試験(6MWT)
6分間歩行試験(6-Minute Walk Test:6MWT)は歩行可能なSMA患者さんの運動機能を歩く距離によって測る評価スケールです。
平坦な25mのコースをできるだけ速く歩き、マーカーで折り返して反対方向に戻ります。これを6分間でできるだけ多く繰り返します6。
多次元的疲労尺度-20(MFI-20)
多次元的疲労尺度-20(Multidimensional Fatigue Inventory-20:MFI-20)は、自己記入式の質問票を用いて疲労感を測る評価スケールです7-9。20の質問項目からなり、「全般的疲労感」「身体的疲労感」「活動性の低下」「意欲の低下」「精神的疲労感」の5つの尺度に分かれています。
1. | Spinal Muscular Atrophy Clinical Research Center. CHOP INTEND for SMA TypeⅠ Score Sheet. http://columbiasma.org/docs/cme-2010/CHOP%20INTEND%20for%20SMA%20Type%20I%20-%20Score%20Sheet.pdf Accessed November 9, 2021. |
2. | O’Hagan JM, et al.: Neuromuscul Disord. 2007; 17(9-10): 693-697. |
3. | Haataja L, et al.: J Pediatr. 1999; 135(2Pt1): 153-161. |
4. | Matsumoto H, et al.: J Pediatr Orthop. 2011; 31(3): 284-292. |
5. | Mazzone ES, et al.: Muscle Nerve. 2017; 55(6): 869-874. |
6. | Montes J, et al.: Muscle Nerve. 2011; 43(4): 485-488. |
7. | Smets EM, et al.: J Psychosom Res. 1995; 39(3): 315-325. |
8. | Smets EM, et al.: Br J Cancer. 1996; 73(2): 241-245. |
9. | 菅谷渚 他: 産業ストレス研究. 2005; 12(3): 233-240. |
小さな変化にも注目しましょう
上で紹介した治療評価スケールは小さな改善を測りにくい場合があり、患者さんやご家族が「改善している」と感じているにもかかわらず、評価としてはあらわれないことがあります。
「前より疲れにくくなった」「食べ物を飲み込みやすくなった」など、これまでと少しでも変化があれば、主治医や療法士の先生方と話してみましょう。
将来の目標を立てましょう
治療による症状の変化は個人差があります。症状の進行の仕方によっては、今の運動機能を維持すること、症状の進行を緩やかにすることが目標となる場合もあります。
生活する中で自分が一番大事にしていることは何か、1年後、5年後、10年後の自分がどうなっていたいかなどを想像して目標を立ててみましょう。
目標について主治医と話し合いましょう
スピンラザの治療を受けている患者さんとご家族の方に向けて「わたしの記録ノート」をご用意しています。日々の変化や治療の長期的な目標を書き留めておくと、ご自身の変化への気づきや治療への意欲向上につながります。また、主治医が治療方針を決めるのにも役立ちます。気づいたことや目標を積極的に主治医と話してみましょう。
PROの重要性
患者さんやご家族の視点での症状やQOLの評価は、患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome:PRO)と呼ばれ、医療従事者による医学的な評価と同じくらい重要な指標だと考えられています。海外では、がんなどを含めたさまざまな疾患でこのPROが注目されています。SMAでも患者さんが主体となって行う評価が重要視されています。